
はじめに
圧縮空気を使用する上で圧力(Pa)、露点温度(℃D.P.)とともによく出てくる単位といて空気流量があります。空気流量は処理流量ともいわれ、機器によって単位の表記方法が異なります。
一般的な圧縮空気の流量は
体積/時間
で表されます。メーカーによって表示が異なることがありますので、
単位を正しく理解することで工場内の空気使用量を正しく判断しましょう。
体積の表記方法
空気は気体ですので、体積および流量は温度や圧力、湿度によって変化します。様々な状態でも等しく比べるために基準状態、標準状態が定義されています。
基準状態、標準状態の条件は以下のとおりです。
また、20℃,1atmの標準状態での湿度を0%としてスタンダードという単位もあります。
空気種類 | 温度 | 圧力 | 湿度 | 表記例 |
標準状態 | 20℃ | 1atm (101.3kPa) |
65% | m3(ANR) L(ANR) |
基準状態 (ノルマル) |
0℃ | 1atm (101.3kPa) |
0% (乾燥空気) |
m3(nor) Nm3 L(nor) NL |
スタンダード | 20℃ | 1atm (101.3kPa) |
0% (乾燥空気) |
m3(std) L(std) |
空気は温度が高いと同じ体積では軽く、低くなると重くなります。
また、水蒸気が含まれている分、標準状態の空気は約1.5%程度大きく表示されます。
各状態の換算は以下のとおりです。
空気種類 | 標準状態 | 基準状態 | スタンダード |
標準状態 1m3(ANR) |
1 |
0.9178 | 0.9850 |
基準状態(ノルマル) m3(nor) |
1.089 | 1 | 1.073 |
スタンダード m3(std) |
1.015 | 0.9318 | 1 |
標準状態は基準状態より温度が高いため、9%程度高い値となります。
処理量を表示するとき、メーカー毎にどちらの数値を採用するかは異なっていたり、独自の状態で表記することがありますが、装置メーカーは標準状態で処理流量を表示していることが多く、空気流量を計測するメーカーは基準状態(ノルマル表示)を標準としていることが多いようです。
「新品のコンプレッサーをフルロードしてもカタログの流量(能力)が出ない」
といった原因はコンプレッサーメーカーと流量計メーカーとの計測の方法が異なっていたため、ということも考えられます。
また、コンプレッサーの吐出量は吸い込み温度や湿度によって大きく異なるため、注意が必要です。
吸い込み温度が低ければ吐出量が増え、湿度が低くても吐出量は増えます。
つまり、夏場より冬場の方がコンプレッサーの吐出量が増えることになります。
時間の表記方法
時間の表記は一般的に毎分、または毎時で表されます。小型の機器ではL/min(リットル毎分)で表され、大型の機器ではm3/min(リューベ毎分)やm3/H(リューベ毎時)で表されます。
1m3は1000Lですので、1m3/min=1000L/min
また、1時間は60分ですので、1m3/min=60m3/Hとなります。
事業所や工場毎で表記が異なることが多いので、「今の単位は毎分なのか、毎時なのか」確認することが大切です。
おわりに
コンプレッサーやドライヤーの増設や更新の際には現在の流量を把握することが大切です。圧縮空気は温度や圧力、湿度によって流量(体積)が大きく異なります。
異なる環境でも正しく評価するためには「基準をどこにするのか」は非常に重要です。
折角流量計を取り付けても正しく評価できなければ意味がありません。
流量計の表示が何を意味しているのか、正しく理解しましょう。