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コラム

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ANRとノルマルの違い

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公開:2018.4

更新:
2020.2 関連する計算項目を追加
2020.8 関連する製品を追加

はじめに

圧縮空気を使用する上で圧力(Pa)、露点温度(℃D.P.)とともによく出てくる単位として空気流量があります。
空圧機器を使用する上で重要な流量ですが、空気は気体であるため、水や油といった液体よりも温度や圧力に大きく影響を受けます。
例えば40℃と0℃では同じ質量の空気でも密度が異なるため、14%も体積は異なります。
また、大気には湿度、つまりは水蒸気も含まれており、水蒸気の量によっても流量に影響を及ぼします。

空気流量は処理流量ともいわれ、機器によって単位の表記方法が異なります。
一般的な圧縮空気の流量は
体積/時間
で表されます。空圧機器メーカーによって流量条件が異なることも多く、
「仕様通りのものを買ったはずなのに性能が出ない」
といったことも考えられます。

空気流量を正しく理解して仕様に見合った機器を選定しましょう。

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体積の表記方法

空気は気体ですので、体積および流量は温度や圧力、湿度によって変化します。
ボイルシャルルの法則により、圧力が倍になれば体積は半分、温度が倍になれば体積も倍となります。
温度が倍になることはなかなか考えられませんが、例えば空気温度が0℃から40℃に上昇すると14%体積が増加します。
また、一般的な大気は水蒸気(湿度)を含んでおり、水蒸気による体積への影響もあります。

このため、様々な状態でも等しく比べるために基準状態標準状態スタンダードが定義されています。
また、実際の流量は実流量操業流量とも言われ、流量のほかに圧力、温度、湿度等を測定し基準状態や標準状態などに換算されます。

標準状態とは20℃、1atm、湿度65%と一般的な大気に近い状態の空気を表したものです。
末尾に(ANR)と表記されます。

基準状態とはノルマルともいわれ、0℃、1atm、水蒸気を除いた湿度0%の乾燥空気となっており、末尾に(nor),(ntp)または体積の単位の前にNと表記されます。
製造現場では「ノルマルリューベ」「ノルマルリットル」と呼ばれています。

基準状態、標準状態の条件をまとめると以下のとおりです。 また、20℃,1atmの標準状態での湿度を0%としてスタンダードという単位もあります。

空気種類 温度 圧力 湿度 表記例
標準状態 20℃ 1atm
(101.3kPa)
65% m3(ANR)
L(ANR)
基準状態
(ノルマル)
0℃ 1atm
(101.3kPa)
0%
(乾燥空気)
m3(nor)
m3(ntp)
Nm3
L(nor)
L(ntp)
NL
スタンダード 20℃ 1atm
(101.3kPa)
0%
(乾燥空気)
m3(std)
L(std)

比較的末端で使用される機器ではL/minと表記されることがあります。
1000L=1㎥ですので、表記の違いに注意しましょう。

空気は温度が高いと同じ体積では軽く、低くなると重くなります。
同じ乾燥空気でも基準状態とスタンダードでは7%大きく表示されます。
また、水蒸気が含まれていることと、標準状態の空気は約1.5%程度大きく表示されます。
各状態の換算は以下のとおりです。

空気種類 標準状態
1m3(ANR)
基準状態
m3(nor)
スタンダード
m3(std)
標準状態
1m3(ANR)
1 0.9178 0.9850
基準状態(ノルマル)
m3(ntp),Nm3
1.090 1 1.073
スタンダード
㎥(std)
1.015 0.9318 1

例えば、基準状態1N㎥(1㎥(nor))の空気を標準状態で表すと1.090㎥(ANR)となります。
標準状態は基準状態より温度や湿度が高いため、約9%程度高い値となります。

処理量を表示するとき、メーカー毎にどちらの数値を採用するかは異なっていたり、独自の状態で表記することがありますが、装置メーカーは標準状態で処理流量を表示していることが多く、流量計メーカーは基準状態(ノルマル表示)を標準としていることが多いようです。
空気流量を管理する場合はノルマルで行われる場合が多いと思われます。
各メーカーの表記をまとめると以下のようになります。

機器 流量表記 ノルマル流量への換算
小型空気圧縮機および
対応ドライヤー
(75kW以下)
標準状態
(1atm,20℃,65%)
カタログ流量×0.9178
大型圧縮機および
対応ドライヤー
(75kW以上)
独自の場合が多い  
シリンダー、フィルターなど
空気を使用する機器
標準状態
(1atm,20℃,65%)
カタログ流量×0.9178

仕様を決定する際にはこの空気流量の条件を確認することが非常に重要です。
ハイグロマスターではノルマル表示のほかお客様指定の温度条件での設計、製作も行っております。

「新品のコンプレッサーをフルロードしてもカタログの流量(能力)が出ない」

といった原因はコンプレッサーメーカーと流量計メーカーとの計測の方法が異なっていたため、ということも考えられます。
また、コンプレッサーの吐出量は吸い込み温度や湿度によって大きく異なるため、注意が必要です。
吸い込み温度が低ければ吐出量が増え、湿度が低くても吐出量は増えます。
つまり、夏場より冬場の方がコンプレッサーの吐出量が増えることになります。
大型の圧縮機の場合は特にこの傾向が顕著ですので、事前にコンプレッサーメーカーとの打ち合わせが重要になります。

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時間の表記方法

時間の表記は一般的に毎分、または毎時で表されます。
小型の機器ではL/min(リットル毎分)で表され、大型の機器ではm3/min(リューベ毎分)やm3/H(リューベ毎時)で表されます。
1m3は1000Lですので、1m3/min=1000L/min
また、1時間は60分ですので、1m3/min=60m3/Hとなります。
装置メーカーによって毎時、毎分どちらなのか異なっていることはもちろんですが、納入した事業所や工場毎で使用している単位が異なることも多いので、「今の単位は毎分なのか、毎時なのか」確認することが大切です。
例えば1m3/minは60m3/Hであり、1000L/minとなります。
各単位への換算は以下のように行うことができます。

換算 L/min m3/min m3/H
1L/min 1 0.001 0.06
1m3/min 1000 1 60
1m3/H 16.67 0.016 1

おわりに

コンプレッサーやドライヤー、空圧を使用する機器の増設や更新の際には現在の流量を把握することが大切です。
圧縮空気は温度や圧力、湿度によって流量(体積)が大きく異なります。
異なる環境でも正しく評価するためには「基準をどこにするのか」は非常に重要です。
折角流量計を取り付けても正しく評価できなければ意味がありません。
流量計の表示が何を意味しているのか、正しく理解しましょう。

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