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「冷却式」と「吸着式」の違い

公開:2017.06
更新:2020.03 関連する記事、コラムを追加
冷却式と吸着式の違い
弊社で製造している除湿機は除湿方式の違いによって大きく「冷却式」と「吸着式」に分類されます。
「冷却式」は冷却して空気中の水分を結露させて除湿する方式です。
「吸着式」は吸湿剤に湿気を吸着させて空気を除湿する方式です。
必要な露点、水分量によって最適な除湿方式は異なってきます。
吸着式は露点温度(圧縮空気中に含まれる水分量)が低い圧縮空気を得ることができますが、設備コストやランニングコスト、メンテナンスコストが冷却式と比較して多くかかります。
また、ダストやコンタミ(ホコリやチリ)を嫌う箇所では粉化した吸湿剤の飛散を防止するための目の細かいフィルターが必要となる場合があります。
冷却式は吸着式と比較してコストが安く一般工場用エアーとしては充分な圧縮空気を得ることができますが、水分を嫌う塗装や半導体生産プロセス、氷点下以下となる厳冬期の屋外配管等で不具合が発生することがあります。
一般的に冷却式は大容量の除湿に適しており、吸着式は小容量の低露点(低水分)の除湿に適しています。
工場で使用する全ての圧縮空気を吸着式で除湿するのではなく、低露点の必要な部分だけ小容量の吸着式を用いるといった使い方が一般的です。
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冷却式とは
身近なものでいえばエアコンの除湿機能と同じ原理で除湿を行います。
空気は冷却していくと相対湿度が上昇し、相対湿度が100%を超えると水蒸気が水滴となり結露します。
このとき発生した結露(圧縮空気ではドレンといいます)を取り除くことで除湿を行うことができます。
弊社の冷却式除湿機では、冷却源(冷凍機、クーリングタワー)などで冷却された水を使用して空気を冷却除湿します。
弊社ではA型、AE型、-α°DP型、T型、IP型、F型などがこれに当たります。 これらは使用する水の温度や種類によって分類されています。
冷却式の特徴
- 圧力下露点温度10℃~外気温度以下と一般工場用エアーの配管内のドレン滞留対策に最適。
- 吸着型と比較して大容量の除湿が行える。
- 吸着型と比較して除湿にかかるコストが低い。
- 低露点(圧力下-20℃程度)には不向き。(F型を除く)
- 工場の余剰冷却源(冷水、冷却水、井戸水など)を使用できる。(A型、AE型、IP型のみ)
- 露点制御を行いやすく、省エネルギーでドレンレスエアーを実現しやすい。
関連するリンク
- コラム「冷却式(冷凍式)圧縮空気除湿装置(エアドライヤー)の仕組みと構成要素」https://www.hygro.co.jp/media/faqs/20170621-5
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―α°DP型
圧力下露点設定:外気温度以下


吸着式とは
身近なものでいえば、お菓子や海苔、タンスなどの乾燥剤と同じ原理で除湿を行います。
吸湿剤は使用していると水分の吸着量が減少するため、上記の乾燥剤と違って再利用可能なものを使用しています。
水分を吸着した吸湿剤は加熱やブローを行い水分を脱着させることで再度除湿を行うことができます。
このとき、乾燥剤に吸着した水分を脱着させる工程を「再生」といいます。
吸着式は一般的にこの再生工程が必要なため、再生を行う塔と除湿を行う塔の最低2つが必要となります。
弊社ではC型(加熱再生型)、C型(排熱利用型)、C型(ヒートレス型)などがこれにあたります。 これらは再生方式によって分類されています。
吸着式の特徴
- 低露点(圧力下露点温度-20℃DP以下)の除湿が可能で水分を嫌う塗装やブローなどに最適。
- 露点温度をモニタリングし過度の再生を行わない「露点モード」により省エネルギーを実現できる。
- 入口の水分量が多いと装置が大型化するため、冷却式で一度除湿した後に用いられることが多い。
関連するリンク
- コラム「吸湿式(吸着式)圧縮空気除湿装置(エアドライヤー)の仕組み」https://www.hygro.co.jp/media/faqs/20200302-18
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おわりに
弊社では冷却式、吸着式どちらのハイグロマスターも製造しています。
除湿機において最も重要なのは除湿品質、すなわち「露点」ですが、お客様の要望にあった省エネルギーな制御方式をご提案しています。
外部からの冷却源による冷却式や、加熱源による吸着式、冷却源や加熱源を弊社除湿機に組み込んで冷却式と吸着式を組み合わせた「オールインワン」のシステムの構築も可能です。
ハイグロマスターはお客様の仕様に合わせて製作いたします。お問い合わせはこちらから。
各除湿方式の詳細については「技術情報 除湿方式とその違い」をご覧ください。
文章中の用語についてご不明な点がある場合は技術情報「圧縮空気除湿の基礎知識」、「技術用語解説」またはお問い合わせをご利用ください。
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